「退屈してる？」

「本読んでた」

「競走馬の骨折用の塗り薬 いいよ」

「なんじゃ そりゃ」

kira君との会話は 穏やかに続きます

「旦那とは もう無理と思ったよ」

「せっかく一緒になったんだから

そんなこと言わないで」

ほんと そお思ってるのかな？

「子供が居るから一緒に居るだけ」

「子供は親を選べないからね 子供の為とか言わないで」

違うよ 子供は親を選んで生まれてくるんだよ

kira君には そのことは伝えなかった

松葉杖生活でひとりで出来ることは

制限される

そんな時 夫のわたしに対する愛情の薄さを感じたのです

歳を取って お互い 介護し 介護される身になった時 献身的に尽くせるだろうかと…

「kira君に会いたい パワーもらいたい」

その会話を最後に連絡が途絶えました

またタイに行ったようです

ひとりぼっちの骨折ライフ

ユタさんが言っていた

これから病院通いが続く

とは このことだったのね

家でじっとしていることは わたしには

考えられない

ところが このひとりの時間が実に充実していたのです

たまたま 後で読もうと思っていた本に

骨折などで長期休養を取らなくてはならなくなった時は

身体が休みたがっているサイン

この言葉に

そんなこと 思っていなかったけど

疲れていたのかな

この機会に ゆっくり休ませて貰おう

と気持ちが楽になったのです